12月11日、ISO研修の一環として、前回に引き続き「BCP(事業継続計画)」策定に関する第2回研修を実施しました。
今回は、過去に社長が作成した事業継続計画の資料をベースに、どの部分を活かし、どの点を更新すべきかといった、より実務に即した視点で検討を行いました。

BCP策定の6つのフェーズ
研修では、BCPを次の6フェーズで整理しました。
①現状分析
②リスクと影響度の洗い出し
③RTO(目標復旧時間)の設定
④体制・連絡手順の決定
⑤復旧策・代替手段の整理
⑥社内への周知・共有
現状では、①②の整理に加え、外注先や代替拠点に関する情報については、一定程度整備が進んでいます。
また④への対応として、前回の研修以降、災害時に電話がつながりにくい状況を想定し、LINEおよびオープンチャットの2つの代替連絡手段を新たに準備しました。
⑤については、災害時に外注先となる協力会社の連絡先などを中心に、名簿情報を最新の内容へ更新しています。
一方で今後の課題として、時間軸を意識した復旧計画の明確化と、社内への周知・共有が挙げられました。
あわせて、連絡先情報については年1回以上の定期的なメンテナンスを行い、体制変更があった場合には随時見直す必要があることも確認しました。


「RTO(目標復旧時間)」を新たに追加
今回の資料見直しの中で、特に重要なテーマとなったのがRTO(目標復旧時間)の設定です。
- いつまでに復旧しなければ事業が立ち行かなくなるのか
- キャッシュフローや取引先、協力会社への影響は、どの時点から発生するのか
こうした視点でタイムラインを整理し、「誰が・いつまでに・何をするのか」を明確にすることが、BCPの中核となります。
災害により設備が使用できなくなる場合には、代替設備や外注先をいつまでに確保する必要があるかを基準とし、RTOを設定する方向で検討を進めました。


運用・定着の重要性
今回の研修を通じて改めて共有されたのは、BCPは「作成すること」以上に、「運用し、定着させること」が重要であるという点です。
社員への説明や周知、外注先との情報共有、そして定期的な見直しと更新を重ねることで、BCPは初めて実効性を持ちます。
今回の研修は、BCPを単なる「書類」ではなく、実際に使える計画として社内に根付かせていく重要性を再確認する機会となりました。
今後も継続的な見直しと情報共有を行い、万一の事態においても事業を継続できる体制づくりを進めていきます。
今後の予定
今回の研修内容を踏まえ、RTOの項目を可能な限り具体化し、整理した内容について改めて講師に確認していただく予定です。
なお、BCPに関する研修は一旦終了とし、来年からは再びISO14001の研修を進めていく予定です。


実際にBCP資料を作成して感じたこと(スタッフの感想)
今回、BCP対策の資料作成を担当する中で、最も苦労したのは 「RTO(目標復旧時間)」の考え方を具体的な形に落とし込むことでした。
社長が約5年前に作成したBCP資料にはRTOの項目が含まれておらず、「どのように設定すればよいのか」「何を基準に考えるべきか」が分からず、調べながら手探りで進める必要がありました。
最終的には社長の判断を仰ぐ項目も多くありますが、まずはRTOを策定するための“フレーム”を用意し、自分なりに想定時間をシミュレーションした上で、確認することを意識したいと思います。
また、今回の作業を通じて強く感じたのが、情報更新の難しさとその重要性です。
緊急連絡先や設備トラブル時の連絡先などは、時間の経過や人の入れ替わりによって更新が止まり、古い情報のままになっているケースが少なくありませんでした。
BCPは「作って終わり」になりがちですが、継続的に見直し、誰が見ても分かる状態を保つことが何より重要 だと、今回の資料作成を通して実感しました。






